歯科衛生士ブログ
意外と大切な「噛み合わせ」を知ろう
歯並びがきれいかどうか、歯そのものの白さは気にすることがあると思いますが、「噛み合わせ」を気にしたことはあるでしょうか。
今回は、自分でもチェックできる歯の噛み合わせについて学びましょう。
自分でもできる! 歯の噛み合わせチェック
自分の歯の噛み合わせが良いかどうかを気にしている…という方は、ひょっとしたら少ないかもしれません。
でも歯の噛み合わせが悪いと物を噛む力が低下したり、発音が悪くなったり、ほほや舌を噛んで口内炎ができやすくなることもあるのだとか。
噛み合わせをチェックするポイントは、全部で6つあるのだそうです。
上の歯が下の歯より2〜3ミリ外側に並んでいるか。
前歯だけでなく奥歯も、上の歯が下の歯より2〜3ミリ、外側に並んでいるのが良い状態です。
②〈左右のバランス〉
上下の前歯の真ん中が一致しているか。
上下のあごの骨や歯の噛み合わせがずれていると、食べ物をしっかり噛めなくなるだけでなく、顔を正面から見た時に、顔の下半分が曲がり、ゆがんで見えることがあるそうです。
➂〈上下の前歯の噛み合わせの深さ〉
上の前歯が下の前歯に2〜3ミリの高さで重なっているか。
下の前歯が1/3程度隠れる深さで重なっているのが理想的です。
上下の前歯が噛み合っていなかったり、逆に上の前歯と下の前歯の重なりが4ミリ以上ある場合は、理想的な状態とは言えません。
➃〈歯並びの状態〉
歯が横の歯と重ならずに並んでいるか、永久歯の歯と歯の間にすき間が空いていないか。
あごの骨の大きさと、歯の大きさのバランスが取れていないと、永久歯に生え換わる時にスペースが足りずに歯が重なってしまったり、歯並びがガタガタになることがあります。
⑤〈鼻呼吸ができているか〉
力を入れなくても自然に唇を閉じることができるか。
口呼吸が習慣になっていないか。
前に出ている上の前歯があったり、口元全体が前に出ていると、無自覚に口呼吸になっている場合があります。
自分の横顔を見た時、口元が出ていないかどうかチェックしましょう。
⑥〈口角の位置〉
口を閉じた時、左右の口角の高さは同じでしょうか。
鏡で自分の正面の顔を見て、左右それぞれ、目から唇の端までの距離を確認しましょう。
口角の高さがずれている場合、左右の噛み合わせがずれている可能性があります。
また、笑顔を作ってみて、その時の左右の口角の高さに違いがないかもチェックしてみましょう。
オタマジャクシの歯はニセモノ!?
多くの動物には、私たちと同じように「歯」が生えています。どんな生きものも何かを食べていかなければ生きていけないので、なんら不思議なことではありませんよね。ただ、この「歯」にはホンモノとニセモノがあるのをご存知でしょうか?
ヒトの歯は「真歯(しんし)」
ヒトの歯は、真歯と呼ばれるホンモノの歯です。その証拠に「象牙質」という組織が存在しています。ホンモノの歯である条件は、「エナメル質」ではなく「象牙質」があるかどうかなのです。
オタマジャクシの歯は「角質歯(かくしつし)」
オタマジャクシは、成長してカエルになるために、石に生えている苔や藻を食べます。その際、やはり歯が必要となるのですが、私たちのものとは少し異なります。なぜなら、彼らの歯には象牙質がないからです。専門的には「角質歯」と呼ばれるもので、元をたどれば爪や髪の毛と同じなのです。そんな上皮が角化しただけの歯は、ニセモノと言わざるを得ませんね。ちなみに、ヤツメウナギにも同じような角質歯が生えています。こんな風に、いろいろな動物の歯に注目してみるのも面白いですよ!
スポーツと「⻭」の意外な関係
スポーツ選手も「⻭が命」
世界のホームラン王、王貞治さんは、現役を引退する頃には奥⻭がボロボロだった・・・という有名なお話があります。
これは、ボールを打つ時に奥⻭をグッと噛み締めていたから。
ちなみに、フィギュアスケートの浅田真央さんも、以前インタビューで「ジャンプのときに奥⻭を噛みしめるため、⻭が欠けることがある」と答えていたことがあるそうです。
頑丈な⻭があるから、一流になれる
時速150キロのボールを打ったり、フィギュアスケートでジャンプする時、アスリートたちの奥⻭には数100グラム〜1トンもの負荷(ふか)がかかるのだとか。
人は奥⻭をグッと噛み締めることで、重心が安定し、体がスムーズに動くようになります。
そのため、一流アスリートたちの⻭はボロボロになるわけです。
ちなみに、メジャーリーグでも活躍したイチローさんは、1日に5回⻭を磨いて、良い状態を保つようにケアしていたそうですよ。
嚙み合わせが成績を左右する!?
また、スポーツでトップを目指す子どもたちは、早いうちから⻭列矯正をしてかみ合わせをよくするのだそうです。
なぜなら、噛み合わせが悪いと、脳や顎への刺激が正しく伝わらないから。
トップアスリートはもちろん、私たちが日常生活を送る上でも、⻭並びや噛み合わせが悪いと、仕事や勉強に集中できない・・・ということが起こってしまうのです。
⻭は、アスリートが実力を発揮するために欠かせない要素。
皆さんも、噛み合わせを改善してもっといいパフォーマンスを発揮してみませんか?
知っておきたい「親知らず」のケア方法
あなたには「親知らず」ありますか?
大人の皆さんの中には、親知らずがちょっとした悩みのタネ…という方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、「親知らずって何?」から、「親知らずのケアの方法」まで、ご紹介していきましょう。
なぜ、親知らずはトラブルの原因になりやすい?
そもそも「親知らず」とは何か?
「親知らず」とは、正確には第三大臼歯(だいさんだいきゅうし)のこと。
永久歯の一番奥、前から数えて8番目に生える歯です。
一般に生えてくるのが17歳〜21歳頃。
つまり親の手を離れた頃に生えることから「親知らず」や「智歯」と呼ばれます。
しかも、必ず生えてくるものではなく、個人差があります。
しかも、生え方によっては、お口のトラブルの原因にもなりやすい歯でもあります。
「この間、親知らずを抜いたんだよ」なんていう会話がよく交わされるように、親知らずは抜歯の対象になりやすい歯です。
それは、生え方に問題があることが多いからです。
一つは、傾斜して生えるケース。
親知らずが生えるスペースが足りないと、斜めや横向きに生えてきて、隣の第二大臼歯を圧迫してしまいます。
こうなると汚れもたまりやすく、歯みがきも困難。
とうぜん、隣の歯にも虫歯が発生しやすくなります。
もう一つは、「水平埋伏(すいへいまいふく)」といって、親知らずが顎の中で横向きになったまま、生えてこない状態です。
こうなると、隣の歯の根を刺激して、歯の根やまわりの骨を溶かしてしまうことがあります。
毎日のケアが肝心!
「確かに、ちょっと斜めに生えてきてるけど、何ともないから大丈夫〜」と油断するのは禁物。
親知らずは口の一番奥に生える上に、正常に生えてこないことも多々あります。
そのため、歯みがきが十分にできず、虫歯や歯周病の原因になりやすいのです。
虫歯や歯周病の原因にしないためにも、毎日のお手入れが肝心。
歯ブラシで磨く時には、歯ブラシを斜め横から入れ、親知らずに毛先をきちんと当てます。
そして、小さめに口を開け、小さく動かして磨きましょう。
口を大きく開けると、ほっぺたが引っ張られて歯ブラシを入れにくくなります。
親知らずだけでなく、その手前の歯の後ろ側も、しっかり磨きましょう。
歯間をきれいに磨くには、毛束が1つの、ヘッドが小さな歯ブラシ「タフトブラシ」を使うのもオススメです。
そして、もし親知らずが痛んだり、腫れたりした時には、すぐ歯医者さんに診てもらうようにしましょうね。
虫歯が副鼻腔炎(ふくびくうえん)を引き起こす?
副鼻腔炎ってなに?
鼻の周辺には副鼻腔(ふくびくう)といういくつかの空洞があり、その中に炎症が起こるのが副鼻腔炎です。
蓄膿症(ちくのうしょう)とも呼ばれ、
・膿(うみ)の混じった鼻水が出る
・鼻が詰まる
・頭痛などの痛みが出る
・匂いを感じにくくなる
といった症状があります。
虫歯との関係は?
虫歯(特に奥歯のもの)などによる炎症は、副鼻腔のひとつである上顎洞(じょうがくどう)まで広がることがあります。その結果、上顎洞に膿がたまり、副鼻腔炎の症状が現れます。
歯科治療が必要!
通常の副鼻腔炎は耳鼻科などで治療を行います。しかし、歯周の炎症が原因の場合、完全に治すには歯科治療が必要になります。
歯周病と糖尿病と睡眠不足
睡眠不足と歯周病が、実は関係している・・・なんて話、信じられるでしょうか。
歯周病は、歯と歯肉の間にたまった細菌の影響で、歯肉に炎症を起こしてしまう病気。
そして、この歯周病は糖尿病との関係も深いと言われています。
糖尿病になると歯周病の進行が早くなる、また、歯周病があると糖尿病を発症しやすくなったり、進行が早まることがあるそうなのです。
そして、糖尿病は睡眠とも深いかかわりがあります。
睡眠時間が短くなると、食欲を抑えるホルモン、レプチンが減少。
反対に食欲を増やすホルモン、グレリンが増加し、食事の量が増えます。
また、睡眠時間が短いと、インスリンの働きを抑えるホルモンが増えるため、インスリンの効きが悪くなり、血糖値が上昇します。
つまり、睡眠不足になると糖尿病に悪影響を及ぼす、と同時に、糖尿病とかかわりの深い歯周病も悪化させてしまう可能性があるということです。
睡眠時間をきちんと確保し、起床してすぐに太陽の光を浴びて体内時計をリセットするなど、質のいい睡眠を確保することも重要です。
歯みがき後のうがいは「1回」がオススメ?
虫歯予防の効果に大きな違いが!?
虫歯にならないために、皆さん毎日歯をみがいているはず。
では、歯みがきした後、何回うがいをしていますか?
実は、歯みがき後のうがいの回数が、虫歯予防に大きく関係するかもしれません。
虫歯は「ミュータンス菌」、いわゆる虫歯菌が糖を食べて酸を作り、その酸が歯の成分であるハイドロキシアパタイトを溶かすことによって起こります。
これを「脱灰(だっかい)」といいます。
しかし、初期の虫歯では、唾液に含まれるリン酸イオンやカルシウムイオンが歯のエナメル質層に浸透し、溶けて失われた部分に補充され、歯を元の健康状態に戻す「再石灰化」が起こります。
フッ化物を含むハイドロキシアパタイトは再石灰化を起こしやすく、しかも、いったん歯に戻ると脱灰しにくくなる。
言い換えると、歯の表面が虫歯に強くなっていくのです。
そのため、虫歯予防にはフッ素入りの歯みがき剤(ペースト、粉など)が良いと言われているのです。
ところが、歯みがきの後に何回もうがいをすると、歯みがき剤に含まれるフッ化物が流れて薄くなってしまいます。
ですから、歯磨き後の仕上げのうがいはごく少量の水で1回だけにする。
加えて、しばらく飲食しない。
こうすることで、再石灰化効果が高まると言われています。