歯科衛生士ブログ
むし歯にならない人がいるって本当?
皆さんは、歯磨きをあまりしなくても、むし歯にならない人がいるのをご存知でしょうか?
歯磨きをしないと、お口の中が不潔になってむし歯になるのが普通ですよね。ご飯を食べたあとや眠る前に、しっかり歯磨きするよう教えられるのはそのためです。それにもかかわらず、むし歯にならない人がいるのはなぜだと思いますか?
お口の中にむし歯菌がいない
私たちのお口の中には、数百種類の細菌が存在していて、その中にむし歯菌も含まれています。むし歯菌の多くは、子どもの歯が生え始めるころに住み始めるのですが、この頃、しっかりとした予防管理を行った人は、それ以降もむし歯菌にかかりにくくなることがわかっています。つまり、歯磨きしなくてもむし歯にならない人は、そもそもお口の中にむし歯菌が存在していないか、その数がとても少ないかのどちらかなのです。
歯周病にはかかるので要注意
むし歯にかかりにくい人は、歯磨きがおろそかになる傾向があります。一生懸命歯を磨かなくても、むし歯にならないからですね。けれども、歯周病やその他の病気のかかりやすさは、普通の人と同じであることから注意が必要といえます。 つまり、どんな人でも毎日の歯磨きはしっかり行うことが大切なのです!
歯周病が肺炎を引き起こす?
歯周病の症状といえば、歯茎の腫れや出血ですよね。歯周病菌が歯茎に炎症を引き起こして、歯茎や顎の骨を壊していく病気です。それが重症化すると、日本人の死因第5位(2018年)に位置する肺炎を引き起こすことがあります。厳密には「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」のリスクが高まります。
誤嚥性肺炎ってなに?
誤嚥とは、唾液や食べ物などを誤って気管に飲み込んでしまう現象で、それによって生じる肺炎を誤嚥性肺炎といいます。飲み込む力が衰えた高齢の方に起こりやすい病気です。
歯周病との関係は?
歯周病を放置すると、お口の中で細菌が繁殖します。それらが唾液などに付着して、気管や肺に入り込むことで、細菌感染が起こります。つまり、誤嚥性肺炎ですね。これは病気や加齢によって免疫力が低下した人には、とても深刻な病態となることから、歯医者さんも十分に注意するよう促しています。
歯周病は決して放置せず、できるだけ早く治療を受けるようにしましょう!
⻭ぎしりについて
⻭ぎしりについて家族や知人に⻭ぎしりを指摘されたことはありませんか?
⻭ぎしりは、寝ている時に限らず、無意識のうちに行われます。自覚していない人も多いかもしれません。今回は、⻭や顎だけでなく睡眠にまで影響を与えるこの⻭ぎしりについて、ご説明します。
⻭ぎしりはなぜ起こる?
実は、⻭ぎしりの原因はまだ解明されていません。かつては⻭並びやかみ合わせの悪さが原因とされていました。しかし、現在はストレスも原因のひとつだと言われることが多いです。
⻭ぎしりの種類
⻭ぎしりは、その特徴によって3つに分類されます。クレンチングは音がせず気付きにくいため、注意が必要です。
1.グライディング
上下の⻭をギリギリとすり合わせます。
2.タッピング
上下の⻭をカチカチと噛み合わせます。
3.クレンチング
上下の⻭を強く噛み合わせます。食いしばり等があてはまります。
⻭ぎしりによる悪影響
⻭ぎしりは私たちに様々な悪影響を与えます。
1.⻭や⻭肉に負担をかける
⻭がすり減ったり、⻭周病の進行を加速したりしてしまうことがあります。インプラントの場合は、外れたり、破損したりしてしまうことがあります。
2.顎関節症(がくかんせつしょう)の原因になる
通常の食事より大きな力が顎関節にかかるため、顎関節症を引き起こす場合があります。
3.肩こりや睡眠不足になる
強く噛む力は肩にまで影響を及ぼすため、肩こりの原因になります。また、睡眠の妨げにもなります。
診断と治療について
周囲の人に指摘されたことがあるか?等の問診や、⻭のすり減り具合から診断します。治療方法としては、生活習慣の改善やスプリント療法等が挙げられます。
スプリント療法とは
ゴムやプラスチックでできたマウスピースを装着することで、⻭にかかる負担を軽減したり、噛み合わせのずれを治したりする治療法です。⻭ぎしりは単なる癖ではなく、身体に悪影響を与えるものです。気になる場合は⻭科医にご相談ください。
認知症と歯周病について
高齢化社会と認知症
高齢化社会の日本。高齢に伴う「介護」はとても大きな問題ですよね。現在、介護が必要となる一番の原因は「認知症」となっています。それでは、認知症にならない、進行させないためにどのようなことをすればいいのでしょうか?
⻭がないと脳が小さくなる!?
認知症には、様々な種類があります。現在日本で一番多いのが「アルツハイマー型認知症」です。アルツハイマー型認知症の発症には、脳の中の神経伝達物質の減少が大きく関わっていると考えられています。その神経伝達物質は、「噛むこと」により刺激が脳に伝わることで増加します。過去の研究で、アルツハイマー型認知症の人は健康な人よりも⻭の本数が少なく、そして残存する⻭が少なくなればなるほど、脳の萎縮が進んでいたということが報告されています!!
⻭がなくなる原因、⻭周病
先ほど、⻭がなくなると脳の萎縮が進むという話をしましたが、日本において⻭がなくなる二大原因は「むし⻭」と「⻭周病」と言われています。⻭周病とは、⻭と⻭ぐきの間に繁殖する細菌に感染し、⻭の周りに炎症が起こる病気です。この病気の恐ろしいところは、はじめはほぼ自覚症状がないまま進行するところです。
それでは、どのようにして防げばいいのでしょうか??
大切なことは、「気づくこと」です。
⻭周病セルフチェック
□ 朝起きたとき、口の中がネバネバする
□ ブラッシング時に出血する
□ 口臭が気になる
□ ⻭肉が赤く腫れている
□ かたい物が噛みにくい
□ ⻭が⻑くなったような気がする
□ 前⻭が出っ⻭になったり、⻭と⻭の間に隙間が出てきた
皆さん、いくつ当てはまりましたか?
3つ当てはまると、油断禁物。⻭医者さんで予防するように努めましょう。
6つ当てはまると、⻭周病が進行している可能性があります。
全て当てはまる人は、かなり⻭周病が進行しています。
⻭を大切に⻑生きしよう!
認知症と⻭の関係は、今も研究が進められています。⻭を大切にすることは、将来の自分を大切にすることに繋がります!
美味しい物を自分の⻭で噛んで、健康で⻑生きしたいですね。
キーンとした歯の痛み
キーンとした痛みの原因
夏になると、冷たい飲み物は欠かせません。よく冷えた飲み物を飲んだとき、キーンと⻭がしみて、痛くなることはありませんか?それは知覚過敏かもしれません。知覚過敏とは、⻭の神経が過敏になり、ちょっとした温度変化を痛みと感じてしまう状態のことです。一度なってしまうと、意外と治りにくい疾患です。季節の変わり目や、温度変化の激しい気候になると増えてきます。
知覚過敏の症状
今までなんでもなかったのに、冷たいものを口に含むと一部分だけ数秒間しみて痛い。しかし、再度続けて冷たいものを含んでも最初ほどはしみない。知覚過敏になると、このような症状が現れます。ひどい時は、口に風を感じただけでしみてしまう事もあります。
知覚過敏の原因
ほとんどの場合、刺激を痛みと判断する基準が下がっていることが原因です。つまり、弱い刺激でも痛いと勘違いしてしまうということです。これは激しい気候変動や季節の変わり目、ストレスなどによって引き起こされます。また、強いブラッシングが原因になることもあります。⻭を磨くときに力を入れすぎると、⻭と⻭肉の間のエナメル質が薄くなってしまうのです。
知覚過敏の治療法
残念ながら特効薬はありませんが、例えば以下のような方法で治療を行います。
薬や樹脂でコーティングする
しみる部分を薬や樹脂でコーティングする方法があります。効果には個人差があり、その場で良くなる方は半数くらいです。
知覚過敏用の⻭磨き粉を使う
⻭を傷つけにくい、専用の⻭磨き粉があります。
かみ合わせを調整する
咬み合わせのバランスが悪く、⻭に負担がかかって知覚過敏になることもあります。その場合は、かみ合わせの調整が効果的です。
知覚過敏かどうかは自分だけでは分かりません。早めに受診をしましょう!
歯石について
歯垢と歯石の違い
歯垢(しこう:プラーク)とは
歯の表面を指で触った時、ネバネバする。このネバネバが歯垢です。歯垢には、1gあたり1000億個以上の細菌が詰まっていると言われています。いわば細菌の塊です。歯磨きをしないと、食後およそ4〜8時間ほどでこの歯垢が作られてしまいます。
歯石(しせき)とは
細菌の塊である歯垢は、歯に付着したまま放置されると、唾液に含まれているリン酸やカルシウムが沈着して石のようになります(石灰化)。これを歯石と言います。個人差はありますが、歯みがきでみがき残した歯垢はおよそ2日間ほどで歯石へと変わってしまうと言われています。歯みがきがしにくい「歯と歯ぐきの境目」や「歯と歯の間」にできやすく、歯石はその名前の通り石のように硬いため、一旦歯に付いてしまうと歯ブラシでは取れません。
歯石が与える悪影響
1.歯周病の進行させる
歯石の主成分はリン酸カルシウムです。そ の他の構成物としては、細菌の死骸やたんぱく質などが挙げられます。歯石自体が悪さをすることはありません。しかし、歯石の表面は軽石のようにデコボコとしており、細菌が住み着いて繁殖するには絶好の環境です。歯石は歯の表面だけでなく、歯周ポケットの中にまで及びます。歯周ポケットに歯石ができて細菌が繁殖すると、歯ぐきが下がりやすくなり、歯周病の進行を早めてしまいます。
2.口臭の原因になる
歯石により細菌が繁殖し、炎症が起こり、歯肉から血や膿が出ると、口臭が発生します。
歯石を除去するには
1.適切なブラッシング
歯石が形成されてしまう原因は、歯垢の除去が不十分であることにあります。硬い歯石に変化してしまうと除去が難しいですが、軟らかい歯垢の段階ならセルフケアで除去することが可能です。歯垢が歯石へと変化する前にしっかりと歯垢を除去することが、歯石の沈着予防になります。自己流の歯みがきになっている方は多くいらっしゃいます。丁寧に磨いたつもりでも、歯の表面や裏面に歯垢が付いたまま…。それでは、「歯みがきは毎日しているのに、歯石ができてしまった」という状態になりかねません。歯石ができやすいのは、唾液が分泌(ぶんぴつ)される下あごの前歯の内側(舌側)や、上あごの奥歯の外側(頬側)の歯です。歯磨きを行う際にはこれらの箇所を特に意識し、歯ブラシの「かかと」と呼ばれる部分の毛先を歯の表面に押しあてて、上下に動かすとキレイに磨けます。それぞれの歯に対して適切なブラッシングを行うことが、健康な歯を維持するための第一歩です。
2.デンタルフロスや歯間ブラシで細かい歯垢を除去
「歯と歯の間」や「歯と歯ぐきの間」にできやすい歯垢。それを取り除くのに役立つのが、デンタルフロスと歯間ブラシです。これらを歯ブラシと組み合わせると歯垢を95%除去できるという調査結果もあります。しかし、使用法を間違えたり正しいサイズのものを使わなかったりすると、歯垢を取れないばかりか、歯ぐきを傷つけ、出血や炎症が起こることもあります。付属の説明書をよく読み、場合によっては歯科医院で正しい使い方を教えてもらいましょう。
3.歯科医院での「スケーリング」
歯垢や歯石を専用の器具(スケーラー)で除去することを、スケーリングと言います。スケーリングは、歯科医師や歯科衛生士が通常のスケーラーと超音波スケーラーを使い分けながら行うものです。日頃からセルフケアには力を入れているという方も、歯石ができてしまったら、歯科医院を受診しましょう。歯石は、完全に除去してもまたすぐに付着してしまします。歯の健康チェックもかねて定期的に歯科医院を受診し、半年に一度は歯石除去してもらうことが望ましいでしょう。
歯肉について
皆さんは、普段、歯肉(歯茎)について気にかけているでしょうか。
口内環境を健全に保つためには、むし歯をつくらないことだけでなく、歯肉の状態に気をつかうことも大切です。
歯肉の炎症が進行すると歯周病となり、口内全体に影響を及ぼします。その結果、歯肉が歯を支えられなくなり、歯がグラグラするようになってしまうのです。
健康な歯肉の見分け方
1. 歯周ポケットがない
歯と歯肉の間には、小さな溝があります。この溝にたまった細菌が炎症を起こすと、だんだん溝が深くなり、「歯周ポケット」になります。
2. 色が薄いピンクである
健康な歯肉は、”薄いピンク色”です。赤や赤黒、赤紫の場合は、既に炎症を起こしている場合があります。
3. 歯と歯の間の歯肉の形がきれいな三角形である
健康な歯肉は引き締まっているため、歯と歯の間の歯肉は硬く、先端が尖り、三角形になります。炎症が起こると、引き締まっていないため、先端が丸く見えます。
4. 表面に小さなくぼみ(スティップリング)がある
健康な歯肉をよく見ると、表面に細かなくぼみがあることがわかります。これはスティップリングと呼ばれ、みかんなどの柑橘類(かんきつるい)の表面に似ています。
スティップリングはコラーゲン線維(せんい)というものによって生じるのですが、炎症によってコラーゲン線維が破壊されると、消えてしまいます。
5. 歯を磨いたときの出血や、膿・口臭がない
口内環境が健全であれば、歯を磨くだけで歯肉から出血することはありません。また、膿や口臭などのトラブルも起こりにくいです。
歯の裏側や奥歯の炎症には、歯磨きの時の出血で気づくことが意外と多いかもしれません。
歯肉を健康に保つために
・歯磨きを欠かさず、丁寧に行うこと
・デンタルフロスや歯間ブラシを使用すること
・よく噛み、よく話して唾液の分泌(ぶんぴつ)を促(うなが)すこと
・定期検診に通うこと
・タバコ
・ストレスや睡眠不足
・口呼吸