歯科衛生士ブログ
口腔乾燥症について
口腔乾燥症(こうくうかんそうしょう)とは
口腔乾燥症とは、唾液(だえき)の分泌が低下して、口が乾いた状態のことをさします。口が乾いていると感じるだけでも、広い意味では口腔乾燥症です。
通常、唾液腺からは1日あたり平均約1~1.5リットル分泌(ぶんぴつ)されます。しかし、さまざまな原因から唾液の分泌が減り、口の中の水分が減少すると、口腔乾燥症となります。
口の中が乾燥していると・・・
口腔乾燥症によって口の中が乾燥すると、自浄(じじょう)作用や抗菌(こうきん)作用が弱まるため、むし歯や歯周病にかかりやすくなったり、感染症を起こしやすくなったりします。
特にカビの一種であるカンジダ菌が増殖すると、口の中に白斑(はくはん:皮膚の一部が白くなること)が出現する場合があります。
同じ理由から、口の中がねばついたり、口臭が強くなったりもします。
他にも、
・水分の少ない食べ物を飲み込みにくくなる
・声を出しにくくなる
・味を感じにくくなる
・舌がひび割れてくる
など日常生活に支障を来す症状も現れます。
原因
口腔乾燥症の原因は様々です。
〇 疾患によるもの
・糖尿病
・甲状腺(こうじょうせん)機能障害
・シェーグレン症候群(唾液腺、涙腺などの外分泌腺(がいぶんぴせん)が萎縮(いしゅく)し、口と目が乾燥する自己免疫疾患*)
*自己免疫疾患(じこめんえきしっかん)
体内に入ってきた悪い物を攻撃するはずの免疫機能が、無害な自分自身の細胞や組織を攻撃してしまい、病気を発症させること。
〇 薬の副作用によるもの
・抗うつ剤
・鎮痛剤
・抗パーキンソン剤
・降圧剤
〇 脱水
〇 口呼吸
〇 ストレスによるもの(自律神経の乱れ)
〇 年齢によるもの
などがあり、これらが複合的に関与している場合もあります。
治療方法
1. 生活習慣の改善
口の乾燥が気になる場合、
・口呼吸を直す
・こまめに水分補給をする
・ストレスを軽減する
・よく噛む
など生活習慣を改善することで口腔乾燥の症状が軽くなる場合があります。
2. 疾患の治療
疾患が原因である場合は、疾患自体の治療を進めることが大切です。
3. 対症療法
薬の副作用が原因である場合、可能であれば薬の変更を行うことを検討しますが、できない場合も多く、対症療法が中心となります。
対症療法には、
・保湿成分の含まれたスプレーを口腔内に噴霧する
・保湿ジェルを塗布する
等があります。
粘膜(ねんまく)に炎症が起きている場合は、消炎や殺菌作用のある含嗽剤(がんそうざい:うがい薬)が処方されることもあります。
※ シェーグレン症候群及び放射線による口腔乾燥症の場合に限り、人工唾液や唾液分泌を促進する薬剤に保険が適応されます
4. その他
継続的に漢方薬を服用する方法などもあります。
二次カリエスについて
「⼆次カリエス」というのは聞き慣れない⾔葉かもしれません。しかし、実はかなり⾝近なものです。詳しく⾒ていきましょう。
まず、「カリエス(caries)」は専⾨⽤語で⾍⻭のことです。⻭科検診のときに、⾍⻭だと「C」と⾔われますよね。それは、カリエスの頭⽂字をとっているのです。そして「⼆次カリエス」は、⼀度治療した⾍⻭の周囲に再びできてしまった⾍⻭、という意味になります。
銀⻭の下が痛む場合は要注意
⾍⻭を治療してしばらくした後、被せた銀⻭の下が痛くなってきた経験はないでしょうか。
これは⼆次カリエスの典型的な症状です。⼆次カリエスを放置すると、抜⻭が必要になることもあるので、注意が必要です。
なぜ治療した⻭が⾍⻭になるのか
原因1. 銀⻭が錆びる
⼝の中は、酸性やアルカリ性の変化や温度の変化が激しい、過酷な環境です。そのため銀⻭が錆びてしまうことは珍しくありません。錆びて劣化した銀⻭と⻭の隙間に、⾍⻭が発⽣します。錆びることへの対策として、⾦⻭を使⽤したり、⾦属以外の素材を使⽤する⽅法もあります。
原因2. 接着剤のセメントが溶ける
銀⻭はセメントによって⻭に固定されますが、それが溶けて隙間ができ、⾍⻭になることもあります。
原因3. ⻭磨きが不⼗分
錆びたりセメントが溶けたりしなくても、銀⻭と⻭の境⽬にはわずかな隙間があります。⻭のケアが不⼗分だと、そこからも⾍⻭が発⽣します。特に隣り合う⻭との隙間には⻭垢が溜まりやすいので、⻭ブラシや⻭間ブラシを駆使して丁寧にケアするようにしましょう。
銀⻭が痛くなる他の原因
⾍⻭でなくても、銀⻭が痛むことはあります。例えば以下のような場合です。
・⻭ぎしりをする
・噛み合わせが強い
・装着した銀⻭の⾼さが合っていない
この場合も、⻭に負担がかかっていることに間違いはないので、⼀度⻭科医に相談してみると良いでしょう。
乳歯が抜けたらどうしますか?
皆さんは、乳⻭が抜けた後どうしていましたか?自分の子どもの乳⻭が抜けたらどうしますか?
日本には、乳⻭が抜けると「健やかな身体に育つように」という願いを込めて、
・上の⻭なら床下
・下の⻭なら屋根の上
に向かって投げるという習慣があります。
また、その時に「ネズミの⻭のように強くなーれ!」や「ネズミの⻭と変ーわれ!」というような願いを掛ける人も多いのではないでしょうか。
これは、ネズミの⻭が後から伸び続けることにあやかってのことだと言われています。
海外では⻭がお金に変わる??
実は、世界各地にも同じようなおまじないがあります。
例えば、アメリカやイギリスの子どもたちは、乳⻭が抜けるとその乳⻭を枕の下に置いておきます。そうすると、寝ている間に枕元に⻭の妖精(トゥースフェアリー)が現れ、乳⻭をお金(5ドルくらい)と交換してくれるそうです。
また、フランスやスペインでは、トゥースフェアリーの代わりに子ネズミが、同様にコインと交換してくれます。⻭が強いネズミにあやかっているようです。
乳⻭が抜けるときは痛みを伴うため、嫌がる子どもが多いですが、お小遣いがもらえるとなったら我慢できますね。
顎関節症(がくかんせつしょう)とは
顎関節症(がくかんせつしょう)とは
顎(あご)は、複雑な形状と多くの機能を持っています。食事や会話の際には、筋肉や関節、神経が連動して機能しますが、そのような顎の周辺部分に痛みが出たり動かしにくくなったりするのが顎関節症です。
症状
症状としては、口を開け閉めするときに「カクン」というような音がする口を開こうとすると顎関節や顎を動かす筋肉が痛む大きく口を開けられないといったものが挙げられます。
患者は意外と多い?
音が出る症状に限れば、少なくとも人口の20%近くの人は顎関節症を持つとされています。また、痛みや口の開けにくさで実際に治療が必要になる人は、症状がある人の中のおよそ5%程度と推定されています。
顎関節症の原因
少し前までは、噛み合わせの悪さが原因だと考えられてきました。しかし、近年の研究で、噛み合わせは原因の一つに過ぎず、実際には以下のような多くの要因が絡んでいることが分かってきました。
・噛み合わせの悪さ(咬合要因:こうごうよういん)
・顎関節や顎の筋肉の弱さ(解剖要員:かいぼうよういん)
・緊張や不安、気分の落ち込みの継続(精神的要因)
・噛み違いや打撲、転倒(外傷要因:がいしょうよういん)
これ以外に、日常生活の癖(くせ)が顎関節症につながることもあります。
治療方法
⻭科医院では、一般的にはスプリント(マウスピース)による治療を行います。これは、⻭に被せるプラスチックの装置です。睡眠中に装着(そうちゃく)することで、夜間の無意識の噛み込みによる顎関節や筋肉への負担を軽減します。(マウスピースの写真)また、ご自身によるセルフケアも重要です。例えば、以下のようなマッサージです。ただし、力を入れすぎると逆効果になるので注意してください。
咬筋(こうきん)のマッサージ
咬筋(軽く噛んだ時に顎の付け根付近で動く筋肉)を親指の付け根や2、3本の指先で円を描くように10秒弱マッサージします。
側頭筋(そくとうきん)のマッサージ
側頭筋(軽く噛んだときにこめかみ付近で動く筋肉)を、咬筋と同様の方法でマッサージします。無意識に行っている習慣や姿勢が症状を起こしやすくしたり、⻑引かせたりするケースがしばしば見られます。そのような問題を自分で見つけることは簡単ではありませんが、悪い癖に気付くことは、完治するために重要です。
お釈迦様の歯を見たことがありますか?
世界遺産キャンディの仏⻭寺
仏⻭寺(ぶっしじ)は、スリランカ中部の世界遺産「キャンディ」にある代表的な仏教寺院です。キャンディ湖のほとりに建つお寺の敷地はとても広大で、本堂にはなんと、釈迦(しゃか)の⻭が祀(まつ)られています。
正式名称は、ダラダ・マリガワ。もともと釈迦の⻭は別の場所にありましたが、他⺠族の侵入で持ち去られ、その後返還されて現在の場所に祀られたと言われています。
スリランカの仏教徒の信仰の中心であり、歴代首相も、就任後はこの寺に参拝する習わしとなっています。
毎日の「プージャ」
仏⻭寺の2階には仏⻭が祀られており、途中の踊り場には、仏塔(ぶっとう)※や仏舎利(ぶっしゃり)※を入れる入れ物、インドから釈迦の⻭が持ってこられたときの様子を描いた彫刻などが展示されています。
祭壇ではたくさんの人が参拝をしています。そして1日3回のプージャ(お祈り)の際には、扉が開かれ、釈迦の⻭が入った金色の入れ物を見ることができます。
この時間を目指して仏⻭寺を訪れると、お供え物をささげる儀式や祈りの様子などを見学することができます。もしプージャのタイミングにあわなくても、祭壇の脇に設置されたモニターでその映像を鑑賞することが可能です。
※仏舎利:釈迦の遺骨(いこつ)のこと
※仏塔:仏舎利などを納めた塔のこと
歯石について
歯垢と歯石の違い
歯垢(しこう:プラーク)とは
歯の表面を指で触った時、ネバネバする。このネバネバが歯垢です。歯垢には、1gあたり1000億個以上の細菌が詰まっていると言われています。いわば細菌の塊です。歯磨きをしないと、食後およそ4〜8時間ほどでこの歯垢が作られてしまいます。
歯石(しせき)とは
細菌の塊である歯垢は、歯に付着したまま放置されると、唾液に含まれているリン酸やカルシウムが沈着して石のようになります(石灰化)。これを歯石と言います。個人差はありますが、歯みがきでみがき残した歯垢はおよそ2日間ほどで歯石へと変わってしまうと言われています。歯みがきがしにくい「歯と歯ぐきの境目」や「歯と歯の間」にできやすく、歯石はその名前の通り石のように硬いため、一旦歯に付いてしまうと歯ブラシでは取れません。
歯石が与える悪影響
1.歯周病の進行させる
歯石の主成分はリン酸カルシウムです。そ の他の構成物としては、細菌の死骸やたんぱく質などが挙げられます。歯石自体が悪さをすることはありません。しかし、歯石の表面は軽石のようにデコボコとしており、細菌が住み着いて繁殖するには絶好の環境です。歯石は歯の表面だけでなく、歯周ポケットの中にまで及びます。歯周ポケットに歯石ができて細菌が繁殖すると、歯ぐきが下がりやすくなり、歯周病の進行を早めてしまいます。
2.口臭の原因になる
歯石により細菌が繁殖し、炎症が起こり、歯肉から血や膿が出ると、口臭が発生します。
歯石を除去するには
1.適切なブラッシング
歯石が形成されてしまう原因は、歯垢の除去が不十分であることにあります。硬い歯石に変化してしまうと除去が難しいですが、軟らかい歯垢の段階ならセルフケアで除去することが可能です。歯垢が歯石へと変化する前にしっかりと歯垢を除去することが、歯石の沈着予防になります。自己流の歯みがきになっている方は多くいらっしゃいます。丁寧に磨いたつもりでも、歯の表面や裏面に歯垢が付いたまま…。それでは、「歯みがきは毎日しているのに、歯石ができてしまった」という状態になりかねません。歯石ができやすいのは、唾液が分泌(ぶんぴつ)される下あごの前歯の内側(舌側)や、上あごの奥歯の外側(頬側)の歯です。歯磨きを行う際にはこれらの箇所を特に意識し、歯ブラシの「かかと」と呼ばれる部分の毛先を歯の表面に押しあてて、上下に動かすとキレイに磨けます。それぞれの歯に対して適切なブラッシングを行うことが、健康な歯を維持するための第一歩です。
2.デンタルフロスや歯間ブラシで細かい歯垢を除去
「歯と歯の間」や「歯と歯ぐきの間」にできやすい歯垢。それを取り除くのに役立つのが、デンタルフロスと歯間ブラシです。これらを歯ブラシと組み合わせると歯垢を95%除去できるという調査結果もあります。しかし、使用法を間違えたり正しいサイズのものを使わなかったりすると、歯垢を取れないばかりか、歯ぐきを傷つけ、出血や炎症が起こることもあります。付属の説明書をよく読み、場合によっては歯科医院で正しい使い方を教えてもらいましょう。
3.歯科医院での「スケーリング」
歯垢や歯石を専用の器具(スケーラー)で除去することを、スケーリングと言います。スケーリングは、歯科医師や歯科衛生士が通常のスケーラーと超音波スケーラーを使い分けながら行うものです。日頃からセルフケアには力を入れているという方も、歯石ができてしまったら、歯科医院を受診しましょう。歯石は、完全に除去してもまたすぐに付着してしまします。歯の健康チェックもかねて定期的に歯科医院を受診し、半年に一度は歯石除去してもらうことが望ましいでしょう。
キーンとした歯の痛み
キーンとした痛みの原因
夏になると、冷たい飲み物は欠かせません。よく冷えた飲み物を飲んだとき、キーンと⻭がしみて、痛くなることはありませんか?それは知覚過敏かもしれません。知覚過敏とは、⻭の神経が過敏になり、ちょっとした温度変化を痛みと感じてしまう状態のことです。一度なってしまうと、意外と治りにくい疾患です。季節の変わり目や、温度変化の激しい気候になると増えてきます。
知覚過敏の症状
今までなんでもなかったのに、冷たいものを口に含むと一部分だけ数秒間しみて痛い。しかし、再度続けて冷たいものを含んでも最初ほどはしみない。知覚過敏になると、このような症状が現れます。ひどい時は、口に風を感じただけでしみてしまう事もあります。
知覚過敏の原因
ほとんどの場合、刺激を痛みと判断する基準が下がっていることが原因です。つまり、弱い刺激でも痛いと勘違いしてしまうということです。これは激しい気候変動や季節の変わり目、ストレスなどによって引き起こされます。また、強いブラッシングが原因になることもあります。⻭を磨くときに力を入れすぎると、⻭と⻭肉の間のエナメル質が薄くなってしまうのです。
知覚過敏の治療法
残念ながら特効薬はありませんが、例えば以下のような方法で治療を行います。
薬や樹脂でコーティングする
しみる部分を薬や樹脂でコーティングする方法があります。効果には個人差があり、その場で良くなる方は半数くらいです。
知覚過敏用の⻭磨き粉を使う
⻭を傷つけにくい、専用の⻭磨き粉があります。
かみ合わせを調整する
咬み合わせのバランスが悪く、⻭に負担がかかって知覚過敏になることもあります。その場合は、かみ合わせの調整が効果的です。