歯科衛生士ブログ
認知症と歯周病について
高齢化社会と認知症
高齢化社会の日本。高齢に伴う「介護」はとても大きな問題ですよね。現在、介護が必要となる一番の原因は「認知症」となっています。それでは、認知症にならない、進行させないためにどのようなことをすればいいのでしょうか?
⻭がないと脳が小さくなる!?
認知症には、様々な種類があります。現在日本で一番多いのが「アルツハイマー型認知症」です。アルツハイマー型認知症の発症には、脳の中の神経伝達物質の減少が大きく関わっていると考えられています。その神経伝達物質は、「噛むこと」により刺激が脳に伝わることで増加します。過去の研究で、アルツハイマー型認知症の人は健康な人よりも⻭の本数が少なく、そして残存する⻭が少なくなればなるほど、脳の萎縮が進んでいたということが報告されています!!
⻭がなくなる原因、⻭周病
先ほど、⻭がなくなると脳の萎縮が進むという話をしましたが、日本において⻭がなくなる二大原因は「むし⻭」と「⻭周病」と言われています。⻭周病とは、⻭と⻭ぐきの間に繁殖する細菌に感染し、⻭の周りに炎症が起こる病気です。この病気の恐ろしいところは、はじめはほぼ自覚症状がないまま進行するところです。
それでは、どのようにして防げばいいのでしょうか??
大切なことは、「気づくこと」です。
⻭周病セルフチェック
□ 朝起きたとき、口の中がネバネバする
□ ブラッシング時に出血する
□ 口臭が気になる
□ ⻭肉が赤く腫れている
□ かたい物が噛みにくい
□ ⻭が⻑くなったような気がする
□ 前⻭が出っ⻭になったり、⻭と⻭の間に隙間が出てきた
皆さん、いくつ当てはまりましたか?
3つ当てはまると、油断禁物。⻭医者さんで予防するように努めましょう。
6つ当てはまると、⻭周病が進行している可能性があります。
全て当てはまる人は、かなり⻭周病が進行しています。
⻭を大切に⻑生きしよう!
認知症と⻭の関係は、今も研究が進められています。⻭を大切にすることは、将来の自分を大切にすることに繋がります!
美味しい物を自分の⻭で噛んで、健康で⻑生きしたいですね。
眠りが浅いと⻭ぎしりしやすい?
深い眠りと浅い眠り
睡眠は、その深さによっていくつかのステージに分けることができます。
レム睡眠が最も浅く、まぶたの中では眼球が活発に動いています。この眼球の動きはRapid Eye Movement(急速眼球運動)と呼ばれ、頭⽂字がレム(REM)睡眠の由来になっています。
ノンレム睡眠には4つのステージがあり、ステージが上がるごとに眠りが深くなります。
レム睡眠とノンレム睡眠
ちなみに、レム睡眠は「⾝体の眠り」と呼ばれ、⾝体が休み、脳は活動している状態です。ノンレム睡眠は「脳の眠り」と呼ばれ、⾝体が活動し、脳は休んでいる状態です。聞いたことのある⼈も多いかもしれませんが、レム睡眠の時は記憶の整理が⾏われ、ノンレム睡眠の時には成⻑ホルモンが分泌されたりするそうです。
深い眠りにも、浅い眠りにも役割があるのですね!
⻭ぎしりが多いステージは?
⻭ぎしりはノンレム睡眠のステージ1と2で多く⾒られるというデータがあります。つまり、⻭ぎしりをしやすいのは、⽐較的眠りの浅い段階だと⾔えます。
⻭ぎしりについて
⻭ぎしりについて家族や知人に⻭ぎしりを指摘されたことはありませんか?
⻭ぎしりは、寝ている時に限らず、無意識のうちに行われます。自覚していない人も多いかもしれません。今回は、⻭や顎だけでなく睡眠にまで影響を与えるこの⻭ぎしりについて、ご説明します。
⻭ぎしりはなぜ起こる?
実は、⻭ぎしりの原因はまだ解明されていません。かつては⻭並びやかみ合わせの悪さが原因とされていました。しかし、現在はストレスも原因のひとつだと言われることが多いです。
⻭ぎしりの種類
⻭ぎしりは、その特徴によって3つに分類されます。クレンチングは音がせず気付きにくいため、注意が必要です。
1.グライディング
上下の⻭をギリギリとすり合わせます。
2.タッピング
上下の⻭をカチカチと噛み合わせます。
3.クレンチング
上下の⻭を強く噛み合わせます。食いしばり等があてはまります。
⻭ぎしりによる悪影響
⻭ぎしりは私たちに様々な悪影響を与えます。
1.⻭や⻭肉に負担をかける
⻭がすり減ったり、⻭周病の進行を加速したりしてしまうことがあります。インプラントの場合は、外れたり、破損したりしてしまうことがあります。
2.顎関節症(がくかんせつしょう)の原因になる
通常の食事より大きな力が顎関節にかかるため、顎関節症を引き起こす場合があります。
3.肩こりや睡眠不足になる
強く噛む力は肩にまで影響を及ぼすため、肩こりの原因になります。また、睡眠の妨げにもなります。
診断と治療について
周囲の人に指摘されたことがあるか?等の問診や、⻭のすり減り具合から診断します。治療方法としては、生活習慣の改善やスプリント療法等が挙げられます。
スプリント療法とは
ゴムやプラスチックでできたマウスピースを装着することで、⻭にかかる負担を軽減したり、噛み合わせのずれを治したりする治療法です。⻭ぎしりは単なる癖ではなく、身体に悪影響を与えるものです。気になる場合は⻭科医にご相談ください。
虫歯が副鼻腔炎(ふくびくうえん)を引き起こす?
副鼻腔炎ってなに?
鼻の周辺には副鼻腔(ふくびくう)といういくつかの空洞があり、その中に炎症が起こるのが副鼻腔炎です。
蓄膿症(ちくのうしょう)とも呼ばれ、
・膿(うみ)の混じった鼻水が出る
・鼻が詰まる
・頭痛などの痛みが出る
・匂いを感じにくくなる
といった症状があります。
虫歯との関係は?
虫歯(特に奥歯のもの)などによる炎症は、副鼻腔のひとつである上顎洞(じょうがくどう)まで広がることがあります。その結果、上顎洞に膿がたまり、副鼻腔炎の症状が現れます。
歯科治療が必要!
通常の副鼻腔炎は耳鼻科などで治療を行います。しかし、歯周の炎症が原因の場合、完全に治すには歯科治療が必要になります。
歯周病が肺炎を引き起こす?
歯周病の症状といえば、歯茎の腫れや出血ですよね。歯周病菌が歯茎に炎症を引き起こして、歯茎や顎の骨を壊していく病気です。それが重症化すると、日本人の死因第5位(2018年)に位置する肺炎を引き起こすことがあります。厳密には「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」のリスクが高まります。
誤嚥性肺炎ってなに?
誤嚥とは、唾液や食べ物などを誤って気管に飲み込んでしまう現象で、それによって生じる肺炎を誤嚥性肺炎といいます。飲み込む力が衰えた高齢の方に起こりやすい病気です。
歯周病との関係は?
歯周病を放置すると、お口の中で細菌が繁殖します。それらが唾液などに付着して、気管や肺に入り込むことで、細菌感染が起こります。つまり、誤嚥性肺炎ですね。これは病気や加齢によって免疫力が低下した人には、とても深刻な病態となることから、歯医者さんも十分に注意するよう促しています。
歯周病は決して放置せず、できるだけ早く治療を受けるようにしましょう!
乳歯について
【出典】花王:乳歯と永久歯の構造(https://www.kao.co.jp/clearclean/oralcare/haekawari/01/)
乳歯ははむし歯になりやすく進行も早い?
子どもの歯である乳歯は、大人の歯である永久歯といろいろな点で異なっています。むし歯になりやすく、その進行も早いのは歯のつくりそのものに違いがあるからです。
乳歯は未成熟
乳歯は永久歯と同じように「エナメル質」と「象牙質」によって構成されています。つまり、歯の造り自体は同じなのですが、成熟の度合いが異なるため、むし歯になりやすくなっているのです。細かくいうと、ひとつひとつの粒子が小さいので、酸による影響を受けやすく、「歯が溶ける」という現象も起こりやすくなっています。
半分の厚みしかない
乳歯のエナメル質や象牙質は、永久歯の半分の厚みしかありません。ですから、一度むし歯にかかってしまうと、あっという間に進行して、歯の神経まで侵されてしまうのです。
奥歯の溝が複雑
奥歯には、前歯と違って特徴的な溝がありますよね。この溝は、食べ物をかみ砕く際に有用なのですが、乳歯は永久歯より複雑であることから、食べかすなどがたまりやすくなっています。これもまた乳歯がむし歯になりやすい理由のひとつです。
これらを踏まえて、乳歯のむし歯予防は永久歯よりも徹底する必要があるといえます!
「歯は再生しない」はウソ?
歯は一度削ると、元には戻らないものとして有名ですよね。実際、歯の一番外側を覆っているエナメル質は、再生することのない組織です。しかし、エナメル質の内側にある象牙質は、状況に応じて再生されるのです。
年を取ると増える象牙質
実は、象牙質はむしろ年を取るごとに増えていきます。専門的には「第二象牙質」と呼ばれ、生理的に作られていくものであり、決して異常なわけではありません。
歯を修復するために増える象牙質
外からの刺激から歯を守るために作られる象牙質もあります。これを「第三象牙質」や「修復象牙質」と呼びます。例えば、噛む力が強くて大きな負担が歯にかかっているような場合は、修復象牙質が生成され、歯髄炎などの防止に役立ちます。
初期のむし歯ならエナメル質も再生する?
発生して間もないむし歯は、歯の内部が少し溶けている状態です。表面にはまだ穴が開いていないので、歯を削る必要はありません。そこにフッ素を塗布すると、内部の溶けたエナメル質が修復(再石灰化)されます。これもまた一種の再生と考えることもできるかもしれませんね。
このように、歯質は再生することもありますので、異常を感じたらすぐに歯医者さんに診てもらいましょう!