歯科衛生士ブログ
実は「歯」に関わりがある「出刃包丁」
名前の由来が、まさかの・・・!?
「出刃包丁(でばぼうちょう)」って、聞いたことがありますか?
包丁の中でも、刃が厚く、魚をおろしたり、鳥の骨などの硬い部分を切る時に使われる包丁です。
どうして急に包丁の話が出てくるんだろう…?と思いますよね。
実は、この出刃包丁の名前の由来と「歯」が、関係しているのです。
出刃包丁は、江戸時代に誕生したと言われています。
当時、刀や鉄砲を作る機会が減った刀鍛冶の職人が、大阪の堺市で作り始めたのが始まりとか。
なぜ「出刃」という名前がついたのか。
1684年に刊行された、堺の名産品について記されている「堺鑑(さかいかがみ)」という資料に、こんな記述があるんです。
「魚肉を料理する包丁他國に勝て當津より擣出を吉とす其鍛冶出歯の口本成故人呼で出歯庖丁と云り。今に至迄、子孫絶ず」
かいつまんでいうと、魚を料理するのに適した包丁を作った人が出っ歯で「出っ歯包丁」と呼んでいたらしいのです。
それが「出刃包丁」になった…。
そんな本当か嘘かわからない、冗談のような由来があるのです。
普通の包丁と比べると「刃が分厚く、出ている」から「出刃包丁」という説もあるそうですが…。
1684年の資料に「出っ歯の人が作ったから」と書いてあるなんて、ちょっと面白いですよね。
「噛む」ことで、記憶力アップ!?
勉強をするけれど、内容が全然覚えられない…。
記憶力が良くなる道具とか、方法とかないのかな…という皆さん。
ひょっとしたらその悩み、解決できるかもしれませんよ。
その方法とは、「噛む」こと。今回は「噛む」ことと「記憶力UP」の関係について、ご紹介します。
噛むと脳が活性化する!?
私たちは食べ物を口に入れて噛む(咀嚼:そしゃく)と、くちびるやほっぺたの筋肉を使います。
さらに、飲み込む時には舌や上あご、のど等の様々な筋肉が連動します。
口の周りには数多くの神経が張り巡らされていて、脳からの指令を受け取ったり、食べ物を噛み、飲み込む時にはたくさんの情報を脳に送り返しています。
このように、脳と口との間では情報伝達と指令がやり取りされており、噛む力や速さを変えているのです。
口の中は、髪の毛が一本まぎれこんだだけでもわかるくらい、鋭敏な感覚を持っています。
食べ物を噛むと、脳にたくさんの情報が送られ、脳のあらゆる部位を活性化させることがわかっています。
「噛む」ことの効能
噛むことは、脳の「海馬」と呼ばれる部分を刺激します。
海馬は「記憶の司令塔」と言われることもある部分で、脳に入った情報は、一旦海馬で整理され、大脳皮質と呼ばれる部分に振り分けられます。
高齢者の方に、ガムを噛んでもらいながら記憶テストを行った結果、噛まない時よりもテストの成績がアップした、というデータもあります。
また、「噛む」ことで、ストレスや不快感が軽減できる、という研究結果も出ています。
脳内には「扁桃体」という五感から入ってきた刺激を「快・不快」に判別する部位があります。
人は嫌な音を聞くと、血中の酢取れる物質が増え、扁桃体の活動が上昇します。
しかし、ガムを噛みながら嫌な音を聞くと、血中のストレス物質量が減少、さらに扁桃体の活動も低下したという研究結果があるのです。
「幸せホルモン」という別名もある脳内物質「セロトニン」は、リズム運動を行うと活性化することがわかっていますが、食べ物を「噛む」行為でも、セロトニンが増加することがわかっています。
セロトニンの分泌量が減少すると、不安になったり落ち込みやすくなったりするほか集中力が低下するとも言われています。
「噛む」ことで記憶力アップできるだけではなく、ストレスを感じにくくなったり、集中力が増したりするんですね。
皆さんも、ぜひご飯の時にはよく噛んで食べて、脳を活性化させましょうね!
世界でいい印象を持たれていない「八重歯」
欧米、アジアでの八重歯に対する印象
皆さんは「八重歯」にどんな印象を持っていますか?
「可愛らしい」と思われる方もいるかもしれませんね。
でも、この八重歯、あまり世界では良い印象を持たれていないようなのです。
アメリカでは、企業の上級管理職になるための条件として、仕事の能力以外に「健康であること」、「スリムであること」に加え「歯並びがいいこと」も含まれることがあるのだとか。
ヨーロッパでは、八重歯は「ドラキュラ」や「狼男」、「魔女」を連想させるため、悪印象を持たれることも多いそうです。
では、日本以外のアジア圏ではどうか。
韓国や台湾では、女優や歌手に歯並びの悪い人はいないそうです。
また、中国では八重歯は「虎の歯」と呼ばれ、「幸福が逃げる」、「親や配偶者との離別を早める」といった迷信があるのだそうです。
世界ではあまり印象を持たれていない上に、歯磨きもしにくく、虫歯や歯周病にもなりやすい八重歯。
なるべく早めに治療しておくことをオススメします!
「舌」は健康のバロメーター!?
皆さん、自分の「舌」をまじまじと観察したことがあるでしょうか。
普通は「歯磨きの時に、ちょっと見るかな…」という程度ではないかと思います。
今回は、「舌」を見ることで、自分の健康状態がわかっちゃうかも? というお話です。
舌から健康状態を知る
実は「舌」は、粘膜で覆われ、多くの血管が集まっているため、血液や体液の状態が反映されやすい部位。
そのため、東洋医学には、舌の色と形、舌の表面に付く白い苔のような「舌苔(ぜったい)」の付き方、舌裏の血管などを見て体調を知る「舌診(ぜっしん)」という診断方法があるのだとか。
健康な舌の特徴は、ピンク色で、白く薄い舌苔がかかっていること。
「舌苔は取った方がいい」と思っている方もいるかもしれませんが、取りすぎると舌が傷付いてしまいます。
舌苔には舌の粘膜を保護する役割もあるので、適度に取るようにしましょう。
健康な舌の場合、舌の裏の静脈の太さが2.5~2.7ミリ以下になっています。
黒ずんで浮き出ていたり、左右で血管の太さが違う場合は、循環がうまく行っていない可能性大です。
不健康な舌の状態って…?
では、不健康な舌の状態とは、どんなものなのでしょうか。
まずは「舌苔が黄色い」、「舌が赤い」、「舌苔が少ない」、「舌の表面に亀裂がある」…。
こういった症状がある場合は水分不足かもしれません。
こまめに水分補給し、脂っこいものや揚げ物は控え目にするのがオススメなのだとか。
次に「舌に紫暗色の斑点がある」、「舌の裏にある血管が太く目立つ」。
これは血管が滞った状態。
ぬるめのお風呂に入ったり、半身浴をして体内の血流を良くするとよいようです。
「舌が白く、形が変化している」、「舌苔が湿っている」、こういった方はちょっと元気が不足しているかもしれません。
弱った体力と気力を回復させるためには、質のよい睡眠が大切。
サバなどの青魚を食べるのもいいでしょう。
「舌がピンク色で腫れぼったい」、「舌の縁に歯形がついている」、こんな方は、栄養が偏っていたり、胃腸が弱っている可能性があります。
できるだけ温かい物をとり、胃腸を休ませましょう。
いかがでしたか。
あまり見ることのない自分の舌を観察することで、自分の健康状態を意識してみませんか?
お釈迦さまも歯みがきをすすめていた!
お坊さんも「歯が命」!?
紀元前5世紀ごろ、仏教を開いたお釈迦さま(ブッダ)の周りに多くの弟子たちが集まりました。
お釈迦さまは弟子たちに、自らの教えを説きました。
その中には、こんな内容があるのだそうです。
「その時、僧たちは歯木(しぼく)をかまず、口が臭かったので、釈迦は歯木を噛むことの5つの利益を説いた」。
「歯木」とは、細い棒の先端を噛んでブラシのようにして、歯と舌をみがく、いわば歯ブラシの原型のような道具です。
お釈迦さまは、弟子たちにこの「歯木」を使うことをすすめたのです。
お釈迦さまによれば、歯木を使うと「口臭がなくなる」、「食べ物の味が良くなる」、「口の中の熱をとる」、「痰をとる」、「目が良くなる」として、歯の手入れを弟子たちにすすめたのです。
古代インドの伝統医学「アーユルヴェーダ」では、歯と舌の汚れを取り除き、口の中を清潔にすることは健康維持の一つの方法だと考えていたそうです。
今も昔も、口の中をきれいにしておくことが健康の第一歩、という考え方は変わっていないのですね。
知ってるようで知らない? 「歯ブラシ」について知ろう!
皆さんは、どんな「歯ブラシ」を使っていますか?
「歯ブラシなんて、どれも一緒でしょ」なんて思っていませんか?
実は、歯ブラシには色々な種類があります。
今回は、知っているようで知らない、歯ブラシについて学んでいきましょう。
歯のみがき方から、歯ブラシを選ぶ
ドラッグストアやスーパーなどの歯ブラシ売り場に行くと、本当にいろいろな種類の歯ブラシがあります。
では、皆さんはどんな風に歯ブラシを選んでいますか?
ひょっとして…「なんとなく」とか「好きなアイドルや俳優がCMしてるから」なんて理由で選んでませんか?
歯ブラシの「ブラシ」の部分の大きさや、毛先の形状など、どうやって選べばいいのでしょう?
日本歯科医師会のホームページにある図によると、ブラッシングの時間が「長いか、短いか」、そしてみがき残しが「多いか、少ないか」によって、自分に合った歯ブラシを選ぶと良い、とあります。

この図を見ながら、自分に合った歯ブラシを選んでみてくださいね!
知ってる?歯ブラシの常識
「毛先が細い方が、歯の間の奥まで届くから、きれいにみがけそう」
「歯ブラシのヘッドが小さい方が、奥まで届くからいい」…こんな風に思っていませんか?
実は、毛先が細い極細毛の歯ブラシは、すき間に入り込みやすい反面、汚れをかき出す力は弱いのです。
逆に、毛先が太い歯ブラシは、歯の間の奥までは届きにくい代わりに、汚れをかき出し、きれいにする効率が高いという特徴があるそうです。
なので、極細毛の歯ブラシを使うなら、ブラッシングをていねいに、そして時間をかけて行う必要があるそう。
逆に、毛先の太い歯ブラシを使うときは、歯の間まで丁寧に磨くのを意識してくださいね!
そして、奥歯を磨くとき、ヘッドが奥まで届いているからといって、きれいに磨けているとは限らないのだそうです。
奥歯をきれいに磨くには、ヘッド部分の両肩が丸くなったものや、尖ったものを使うと、より奥まで歯ブラシが入りやすくなることがあるのだとか。
また、口を少し閉じて、下顎を歯を磨いている側にずらすと、奥まで歯ブラシが届きやすくなるそうです。
いかがでしたか。自分に合った歯ブラシで、隅から隅まできれいに歯みがきしましょうね!
歯医者さんの意外な仕事
「警察歯科医」って知ってますか?
「警察歯科医」という仕事を聞いたことがあるでしょうか?
警察署からの依頼を受けて、身元不明のご遺体の歯や口の中の状態と、生前に歯科治療を受けた際のカルテ記録やレントゲン写真などを照らし合わせて、該当者本人の確認などを行う仕事です。
歯は人間の身体の中で、最も硬度が高く、高温にも耐える組織です。
また、人間の歯の数は32本ですが、全ての歯の状態が同じというケースは極めて少ないのです。
そのため、大規模災害などで多数ご遺体がある場合、生前のデータとご遺体の歯や口の中の状態を照らし合わせ、ご遺体の身元確認を取ることが多いのです。
2001年に発生したアメリカ同時多発テロ(9.11)の際には、身元が判明したご遺体の約35%が、また2004年のスマトラ島沖地震による津波災害では、約56%が歯科所見により身元確認ができたとの報告があります。
このように、みなさんが知らない意外なところで、歯医者さんが活躍しているのです。